腰痛は、腰のずっと下にある尾てい骨のゆがみで生じます。
尾てい骨を整える施術例と合わせて、お読みください。
小さな”しっぽ”尾てい骨について
尾てい骨は、骨盤の中央にある、仙骨の下にある小さな骨の塊です。
腰に手を当て、中指をお尻の割れ目に沿わせてください。
そのまま手を下にずらすと、中指の先に尾てい骨が触れます。
「尾てい骨は、ヒトが昔サルだった時の、しっぽの名残り」と、何かの文章を読んだことがあります。
確かに、そんな感じなんです。
お尻の奥にチョコンとくっついている・出っ張っている感じです。
こんな小さな骨の塊が、なかなか整わない腰痛の原因になるのです。
ではなぜ、あなたの腰痛が尾てい骨のゆがみで生じるのでしょうか?
尾てい骨のゆがみは仙骨をゆがめ、仙骨がゆがむと腰がゆがむからです。
さて、尾てい骨の意味を辞書で調べてみました。
脊柱の最下部にある、下のとがった骨。
ヒトの場合、三~五個の尾椎が癒合したもの。
尾骶骨(びていこつ)。尾閭骨(びりよこつ)。
(三省堂 大辞林より)
このように、尾てい骨は3~5個の骨がくっついてできています。
大きさも構造も、小指(しかも足の小指)をイメージしてもらうとわかりやすいです。
(実際は、小指よりも小さいですが)
いかにして尾てい骨は曲がるのか?
そんな尾てい骨ですが、小指が曲がるようにゆがむことがあります。
では、尾てい骨はどんな時に、どんな風にゆがむのでしょう?
わかりやすいのは、尻もちをついた時です。
私はお客様にお身体の様子を尋ねる時、必ず「尻もちついたことありますか?」とうかがいます。
え~っと・・・と、思い出そうとなさっている時「スキーやスノボで転んだとか?」と補足します。
『そういえば、学生の頃斜面で転んで・・・と』思い出される方も。
『子どもと滑り台で遊んでいて、勢いをつけて滑ったらお尻に激痛が走って・・・』
この方は、後日病院で「尾てい骨が内側に折れ曲がっている」と診断されたそうです。
スキーやスノボに限らず、尻もちをつくと尾てい骨が骨盤の内側に折れ曲がってしまいます。
すると、うつ伏せで尾てい骨を探しても、仙骨の先がなくなっているように感じられます。
尾てい骨が内部に折れ曲がりながら、左右のどちらかに曲がる人もいます。
尻もちをつくときに左右どちらかに傾いたんでしょう。
骨盤内部に折れ曲がった尾てい骨は、手術でもしないかぎりそのまま、です。
尻もちをついて生じた激痛も、よほどひどくなければいつかはなくなりますし。
尾てい骨が折れ曲がったまま、くっついてしまうわけですね。
痛みが無くなれば、もう大丈夫と思うものです。
ところが。
尾てい骨に痛みがなくなった後、腰痛という形で尾てい骨のゆがみに再会する人も、いるわけです。
女性の場合、出産時に尾てい骨が(もう一度)折れ曲がる人がいます。
先日、某勉強会で同席した産婦人科の女医からうかがいました。
『分娩時に胎児が産道を通過する時、内側に曲がった尾てい骨がメリメリっと伸ばされて骨折する人、いますよ』
私は男性なので分娩はしませんが、想像しただけでも痛そうです・・・。
分娩前に尻もちをついて、尾てい骨が内側に曲がっていたんでしょうね。
尾てい骨のゆがみが腰痛を引き起こす
では、なぜ尾てい骨がゆがむと腰痛になるのでしょうか?
尾てい骨は、仙骨の一番下にくっついています。
尾てい骨がゆがめば、仙骨はゆがみます。
腰の骨は仙骨の上に乗っていますから、仙骨がゆがめば腰の骨もゆがみます。
こうして、腰痛が生じるというわけです。
上記の場合、腰痛の直接原因は、腰の骨のゆがみです。
ただし、腰の骨がゆがむ原因は、尾てい骨のゆがみです。
つまり、腰痛の根本原因は、尾てい骨のゆがみ。
尾てい骨を整えない限り、いつまでたっても腰痛は楽になりません。
あなたのしつこい・なかなか整わない腰痛も、尾てい骨のゆがみが根本原因かもしれませんよ。
完全無痛の尾てい骨の施術法
それでは、尾てい骨を整える施術法をご紹介します。
同響法によるものです。
尾てい骨の同響点は、手首甲側の中央部。
手首を反らすと、1本の筋が生じる場所の、真ん中の1点です。
この1点を、指先でごく軽くひじ側に向かってチョン、と1回押してください。
細かく言えば、ひじの方向に向けて斜め下に押すことになります。
押す深さは、1ミリ程度。
手首の皮膚に触れる程度で十分です。
指先でチョン、とごく軽く押した後は、受け手に20秒程度そのまま動かないように指示すること。
身体を動かすことで、ごく軽い刺激がかき消されてしまいますから。
これから紹介する施術例では、施術直後骨盤内部から「ポキッ」と小さな音が確かに聴こえました。
あれほどひどかった腰痛が、軽くなったんです。
尾てい骨を整えて腰痛が楽になった施術例
『学生の頃から腰痛に悩まされています。ぎっくり腰もあります』
整体申込みのメールフォームに書かれていたメッセージは、この後細かい経過報告がありました。
横浜市神奈川区在住の40代女性K様は、かれこれ20年以上腰痛とお付き合いがあるとか。
『大学生の頃から、ず~っと腰痛があって・・・いろんなところに通いましたが今一つで』
「何もしていなくても腰は痛みますか?」
『ええ、いつも重苦しいだるい感じがあります』
特に生理前後は、腰痛で立っているのもやっと、の時もあるとか。
立って腰を動かしてもらうと、右にひねった時に一番痛みが強い。
骨盤のゆがみもある・・・さて、どこから手をつけたものか。
いつものように、身体の訴えに耳を澄ませ、滞った身体を一つずつ解いてゆくのみです。
お身体を調べると、骨盤のゆがみが目立ちます。
全体的に左にねじれていて、左側が下にずれている。
かかとの位置を左右で比べると、さほど差はない。
ふむ・・・ああ、ひざがねじれていますネ。
左ひざがねじれて、ひざが短くなっている。
結果的に両足の長さはほとんど同じ、というわけ。
ひざのねじれを戻して、骨盤の傾きを戻します。
骨盤のねじれを戻して、ひざと対応させて・・・骨盤は落ち着きました。
『先生、腰回りが温かくなってきました』
「ねじれを戻したので循環が良くなったせいでしょう。腰はどんな感じですか?」
『う~ん、少し軽くなりましたが、まだ痛みがあります』
腰をモゾモゾさせながら、K様は少ししかめ顔で答えます。
腰の左側のゆがみを戻し、ひざや骨盤と対応させます。
腰がスルっと伸びやかに脱力して、落ち着きました。
上半身から腰に負担がかかっているかな・・・。
右ひじのねじれを戻し、腰と対応させます。
右肩のコリも解除しました。
「これで、腰はどんな感じですか?」
『さっきよりは楽ですが、まだ残っている感じです』
さて・・・もう一度より丁寧に身体の検査です。
骨盤中央に何かありそう・・・仙骨がゆがんでいますね。
仙骨を整えて・・・あれ?尾てい骨が曲がっています。
尾てい骨が右側にずれるように曲がっている。
「昔、尻もちをついたことあります?スキーやスノボとか」
『スキーもスノボもほとんどやったことないんです。尻もちなら、バスケ部だったので何度もあります』
ふむ・・・納得です。
じゃあ、まずは骨盤全体の打撲を取らないと。
練習や試合で、板張りの床に何度も転んで腰や骨盤を打っていますから。
骨盤に両掌を包み込むように置き、しばらくそのまま。
ふわ~っと骨盤全体がゆるみ、さらに落ち着きました。
「Kさん、ちょっと右手をかしてください」
手首の中央の一点を、指先でチョン、とごく軽くつつきます。
「ちょっと動かないでいてくださいね」
「ポキッ」
「?何か音がしましたね」
『お腹のあたりで何か鳴った感じです・・・』
「今、腰はどんな感じですか?」
『軽くなりました。腰とともに肩の力が抜けて、床にペッタリ着いた感じがします』
「じゃあ、ゆっくり起き上がってください。どうですか、腰は?」
『重苦しさや痛みはかなり楽になりました。へえ~・・・』
K様は両手を腰に当てて腰をひねりながら、とても嬉しそうでした。
尾てい骨を調べると、まだゆがみが残っています。
長年のゆがみは、そうカンタンには整わないもの。
今回は、痛みが軽くなったので、引き続き整えることにしました。
K様の腰痛は、腕や脚、ひざのゆがみからも負担がかかっていて、この後数か月施術を行いました。
尾てい骨のゆがみは、まだ残っています。
ゆがみそのものは、まだ続けて整える必要があるものの、腰痛はほとんどなくなりました。
現在は、肩をメインに、月に1回のメンテナンスに通われています。
『腰痛が気にならなくなったら、肩が凝っていることに気づいて・・・私って肩こりだったんですね』
ウフフと笑うK様は、長年の腰痛から解放されて、明るい笑顔に満ちあふれていました。
あなたの腰痛がなかなか整わない、または症状がぶり返す場合。
尾てい骨を整えることを検討してみてください。
あなたの腰痛は、必要な手当てをすれば必ず快方に向かいます。
あなたの腰痛が芯から整うことを、心から願っています。