首に生じる重苦しいコリは、何ともイヤなものですね。
私自身、公務員時代は首のコリに悩まされていました。
首の付け根が1日中重苦しくて、気になって仕方がない。
首をグルグル回す癖がついて、会議中に「集中しろ!」と怒られたことも、実はあります。
やっかいな首のコリですが、首の痛みコリにはいくつか種類があります。
今回は、首をねじると痛い・動きが悪い場合についてご説明します。
『買物に出かけた時、駐車して後部座席のカバンをとろうと振り向いたら、首に激痛が走りました』
『自転車で右折する時に、首を右にねじれないので自転車を降りて横断歩道渡っています』
首をねじる動作は、普段生活するときにする動作。
首がうまくねじれないと、普段の生活がうまく行かなくなりますね。
ところで、身体をねじる動作は、多くの場合身体の横面に影響を受けます。
上半身で言えば、わき腹や骨盤の横。
首の横面や、側頭部。
下半身なら、すね横や太ももの横。
上記の部分がゆがむと、身体をねじる動作がうまくいかなくなるんです。
『身体の横がゆがんで、ねじる動作がうまくいかなくなるのはわかるけど・・・』
『私は首を左にねじるのはカンタンだけど、右にねじるのは全然ダメ。これってどういうことですか?』
ありがとうございます、いいご質問です。
お答えいたします。
上記の場合、身体の左側が伸ばしにくく、縮みやすい状態です。
つまり、身体の左側のどこかにゆがみがあって、左側を伸ばしにくくしているんです。
身体の左側にあるゆがみを整えれば、左側は通常通り伸ばしやすくなる。
首もスイスイねじれるようになるんです。
首をねじると痛い・動きに左右差がある+腰痛の場合は、下半身のゆがみ
身体の横面と言っても、頭から足先まで結構あります。
「首をねじれない場合、必ず○○がゆがんでいます」ということはありません。
お身体を精密に調べ、反応している場所やゆがんでいる場所を掘り起こして整えるしかありません。
ただ、今回ご紹介するケースは、ある程度の方に共通しているパターンです。
この記事が多くの方に役立つかと思い、お伝えいたします。
今回のケースとは、太ももの横がゆがんでいるケースです。
首がうまくねじれないと同時に、腰痛があるケースです。
太ももには、大きな靱帯(じんたい)がくっついています。
腸脛靱帯(ちょうけいじんたい)といって、骨盤からひざ下まで続く、太くて長い靱帯です。
この靱帯、実は縮みやすいんです。
縮んで硬くなると、骨盤や腰を引っ張ってゆがめてしまう。
その結果、腰痛になるわけです。
もしも、あなたが首がうまくねじれなくて、腰痛があるなら。
太もも外側のゆがみが、あなたの首と腰をゆがめ続けているのかもしれません。
太もも横の靱帯を整える施術
腸脛靱帯を整える方法はいくつかありますが、指を用いた調整法をご紹介しましょう。
整えたい腸脛靱帯と同じ側の、手の小指を使います。
首を右側にねじりにくいなら、左手の小指を使います。
まずはじめに、腸脛靱帯を指先で押し、硬さを調べておきます。
次に、手の小指付け根外側に、指先を当てます。
小指外側を指先でこするように、第二関節外側まで滑らせます。
指先を滑らせた後は、しばらく身体を動かさないように指示して下さい。
およそ20秒程度、動かないように。
指をこすった後すぐ動くと、刺激がかき消されて調整がうまく行きません。
腸脛靱帯を指先で押し、柔らかくなっていればおしまいです。
首もうまく左右にねじれるようになっているでしょう。
太もも横を整えて、腰と首をねじれるのが良くなった施術例
数か月前、首のしつこいコリでお見えになったU様のケースをご紹介します。
U様は川崎市にお住まいの40代後半の女性。
都内で流通関係の企業にお勤めです。
『一人娘も就職してくれましたし、主人はこれからノンビリ旅行に行こう、なんて言ってますが・・・どうですかね』
ニコニコ笑いながらおっしゃるU様ですが、首の付け根の重苦しいコリでお悩みです。
就職して以来、肩こりに悩まされてきたそうですが、数年前から首の付け根が気になって仕方がないそうです。
整形外科でストレートネックと言われ、病院でリハビリを受けたけど一進一退。
地元の整骨院や、職場の同僚に教えてもらった鍼灸や整体、いろいろ受けたけど今一つ良くならない。
ある日、夕食の支度をしている時。
お嬢さんに呼ばれて振り向いたら、首の奥がビキっと大きな音がした。
それ以来、首を左にねじることができなくなった、と。
『首の付け根が重苦しいのも困りますが、ねじれないのも困って・・・』
U様は首をさすりながら、上目遣いでこちらを見て『どれくらい通えば治りますか?』とおっしゃいました。
「そうですね・・・20年以上肩こりがあって、お仕事は1日中パソコン作業・・・まずは施術をさせてください」
お身体に矛盾がなければいいけど・・・そう思いながらいつものように身体を調べます。
首を動かしてもらうと、やはり左にねじれない。
『首を左にねじろうとすると、カチっとファスナーが布を噛んだみたいに動かないんです』
両肩はU様がおっしゃるように、石のようにカチコチ。
まずは肩こりを整えましょう。
腕やひじ、肩甲骨を整えて、肩と対応させます。
両肩はかなり軟らかくなりましたが、他のお客様よりはまだ硬い。
肩は長期戦かな・・・他を整えてみよう。
もう一度身体を調べると、左足首やひざがねじれている。
骨盤の左側も同様です。
「Uさん、足首やひざを痛めた事ありますか?ずいぶんねじれていますけど」
『学生の頃、同級生がぶつかってきて、足首とひざをくじいたことはあります。でも、中学生の頃ですよ』
「腰は痛みませんか?骨盤もすごくねじれています」
『腰ですか・・・腰は時々痛くなります』
ふむ・・・ここが怪しいな。
とにかく左下半身を整えよう。
左足首とひざを整えて、さて骨盤は・・・さっきよりゆがみは減っています。
骨盤の左側を整えていると『先生、腰にイヤな感じが出てきたんですが』
「すごく痛みますか?」
『痛くはないですが、重苦しい感じがします』
「腰をゆがめている場所を整えて、腰が反応しているんです。ちょっと待っていて下さい」
骨盤を慎重に整えた後、左足首とひざを再チェック。
念のため、微調整しておきました。
「腰の重苦しい感じ、まだありますか?」
『さっきよりマシですが、まだあります』
U様は腰をモゾモゾ動かして、何とも落ち着かない感じです。
ふむ・・・どこかゆがみが残っているか・・・。
もう一度身体を調べると、左太ももがゆがんでいるのを発見。
「Uさん、ちょっと左手をかして下さい」
U様の左手小指の付け根外側に指先を当て、第二関節に向かって数回こすります。
「今、腰の感じどうです?」
『イヤな感じ、ほとんどなくなりました。へえ~小指をこするだけで、腰が楽になるなんて』
「では、ゆっくり上半身を起こして、起きあがって下さい」
『ああ~、肩が軽い!こんな軽いのは久しぶりです』
「腰は大丈夫ですか?」
『大丈夫です。私、腰が悪かったんですね』
U様は腰に手を当ててグルグル回しながらおっしゃいました。
「じゃあ、首をちょっと左にねじってみて下さい」
『スゴイ!だいぶねじれますね』U様はゆっくり首を左側にねじりながら、驚きの声をあげました。
『右にねじるのに比べると、まだねじりにくいです。でも、ずいぶんマシです。先生、ありがとうございます』
「首の重苦しい感じや左にねじれないのは、肩こりと左下半身のゆがみが根本原因です」
「肩こりがひどいですが、特に矛盾はありません」
「定期的に整体を受ければ、半年以内には首の重苦しさは落ち着くと思われます」
『先生、本当ですか・・・よろしくお願いします』
U様は深々と頭を下げられました。
その後、U様は月に2回程度施術を受けられました。
首の重苦しさや左にねじれないのは、数回施術を受けられて改善しました。
根本原因の一つである肩こりが本格的にラクになったのは、およそ半年後。
今は、月に1回のメンテナンスで定期的に通われています。
『首は本当に楽になりました。肩こりもほとんど気にならなくなって・・・もっと早く来ればよかったです』
来月、主人と一泊旅行に行くことになりました、とU様はニッコリ微笑みながらおっしゃるのでした。